研究概要 |
ポリ(テトラメチレンオキシド)(PRMO)およびポリ(プロピレンオキシド(PPO)を主鎖に有するトリエトキシシリル(ET)末端ポリマ-を,水酸基末端PTMOおよびPPOを出発物質としてアリ-ル末端ポリマ-を経て合成した。ETーPTMOおよびETーPPOとテトラエトキシシラン(TEOS)の比を変えてゾル-ゲル反応を行い,有機/無機の組成比の異る数種のゲルを作製した。このゲルはSiO_2からなる無機の網目と有機ポリマ-ネットワ-クとの組合せから成る,新しいタイプのハイブリッドである。ソックスレ-法により容媒抽出の結果,ゾル-ゲル反応における仕込みポリマ-の80%以上のポリマ-が抽出されなかった。このことからハイブリッドゲルと呼べるものが合成できたと考えられる。生成したゲルは光学的に透明であり,有機ポリマ-成分が多い場合にはフレキシブルであった。すなわち,有機ポリマ-成分をハイブリッドさせることにより,自由に曲げることのできるガラスが作製できた。TEOS/ETーPTMOより作製されたハイブリッドゲルの動的弾性率(G')および動的損失の温度分散測定の結果,ゲルはPTMO鎖のガラス転移温度付近から室温付近まで幅広い分散を示した。無機ガラス網目が,有機ポリマ-成分に良く分散していると考えられる。また,G'は20℃付近から100℃に至るまで小さな正の勾配を有する直線となり,ゲルはエントロピ-弾性を示すと考えられる。従って,無機シリカガラスの網目はかなり細かく分散してはいるが,有機ポリマ-成分がマトリックスとなっているものと思われる。ミクロな網目分子鎖レベルでのハイブリッドと呼べるかどうかについては更に検討の必要があり,この点を調べるためにX線小角散乱法を用いた構造解析を行うべく準備中である。
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