研究概要 |
われわれがこれまでに行ってきた低分子系導電性錯体および導電性高分子の合成と電子物性に関する研究成果を背景として、低分子および高分子の両面から新規な光・電子機能性アモルファス分子材料の創製を目指して、本年度は、以下の研究を行った。 <1.低分子系アモルファス有機材料の創製>___ー 低分子系アモルファス分子材料の創製を目指して、新規なπ電子共役系starburst分子4,4',4"ートリス(ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4',4"ートリス(3ーメチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4',4"ートリ(Nーカルバゾリル)トリフェニルアミンを合成し、それらがユニ-クな興味あるモルフォロジ-変化を示すことを見いだした。 <2.ペリレン環を側鎖に有する非共役系導電性高分子の合成と物性>___ー 高い導電性を有する高分子の設計・開発を目指して、π電子共役系の発達したペリレン環を側鎖に有する導電性高分子を、ポリ(3ービニルペリレン)(PVPe)の電気化学的ド-ピングによって合成し、その構造および電子物性を検討した。ジクロロメタン中でPVPeを陽極酸化すると、濃緑色の高分子が電極表面に析出した。得られた高分子の構造は、支持電解質のアニオン部をド-パントとするペリレン環の部分酸化されたラジカルカチオン塩であることを同定した。得られた高分子の室温電導度は、ド-ピング率86%の時、1x10^<ー5>Scm^<ー1>であった。 <3.π電子系側鎖基を有する非共役系高分子を用いる二次電池>___ー 高電流密度での充放電が可能な大容量の二次電池の開発を目指して、ポリ(Nービニルカルバゾ-ル)ーグラファイト複合電極を用いる二次電池を作製し、その特性を検討した。作製した電池は、グラファイトの混合により、放電時における正極の抵抗増大を防ぐことができ、0.6mAcm^<ー2>まで良好な放電電圧の平坦性を保つことを明らかにした。
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