研究概要 |
本研究には、12名がそれぞれ専門領域に即する研究テ-マをもって参加した。各々の研究実績は、平成2年度「コミュニケ-ション障害児の診断と教育に関する研究」研究成果発表会発表論文集に報告した。本報告では、これらの研究の中、今後コミュニケ-ション障害研究の重点的方向を示唆するものについて、概観するに止める。 1,山片は、「コミュニケ-ション障害指導の記号論的研究」において、「項の関係」が、発達を捉えるマクロの視点となること、シグナル/シンプトム系の記号メディアに着目する指導が、発達段階の低い子どもの指導に有効であることを臨床的に確認した。菅原は、「聴覚障害幼児におけるキュ-ドスピ-チの習得と機能」について、松下は、「聴覚障害児の伝達手段の組合せ効果」について研究し、共にキュ-・サインを聴覚障害児の記号メディアとして取り上げた。それぞれコミュニケ-ションの流暢性と意欲の向上、読唇との組合せの効果について報告している。今後、感覚障害・発達障害を問わず、コミュニケ-ション記号メディアに関する研究が重要な領域となるであろう。 2,我妻は、米国CIDの“GAELーTEST"から「日本版ガエルテスト」の試案を作成した。金山は、「聴覚障害幼児の両親教育プログラム」の一つとして、ビデオ教材の開発と活用を試み、従来の方法よりもはるかに有用であることを確認した。両者とも、聴覚障害児のみならず発達障害児の診断用具及び教材開発の方法として重用されるであろう。 3,今後のコミュニケ-ション障害の研究では、例えば聴覚障害と自閉性障害等2つの障害領域による共同研究が進められることを期待する。
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