研究概要 |
成長速度の基板温度依存性:基板温度800℃を境にして活性化エネルギ-(Ea)が異っている。高温側ではLPCVD,PCVDともEaは同じで13kcal/molである。低温側ではLPCVDでは31kal/molであるがPCVDでは1kcal/molとなっている。このことより高温側ではLPCVDとPCVDでは同じ反応機構であると考えられる。他方,低温側ではLPCVDとPCVDでは異ったEaを持っために反応機構が異っていると考えられる。 水素流量依存性:水素流量を2倍に変化したにもかかわらず成長速度は変化しなかった。このことは流量の変化により基板上の境界層の厚さが変化しているにもかかわらず成長速度は変化しておらず,膜成長は境異層中の化学種の拡散ではなくて表面反応で律速されていることを意味している。 反応ガス流量依存性:基板温度1000℃ではジシラン流量の増加とともにその濃度の2乗で変化しているのに対して,750℃では1乗で変化している。ジシラン流量を一定にしてアセチレン流量を変化させた場合,高温でも低温でも成長速度は一定であった。これらのことより,成長速度はジシランの流量で律速されているこさが判った。 四重極貭量分析法による分解過程:原料ガスの分解過程を基板温度を変化させて調べた。ジシランは700℃近辺から分散し始めSiHxを生成する。アセチレンは600℃から1000℃まで殆んど変化とておらずCHxのような化学種を生成していない。 以上の結果を総合すると,SiC膜の成長機構はラングミュア吸着モデル説明できる。その結果1000℃では吸着したアセチレンの2重結合が2個のSiHxと反応することによりSiC膜となることが判明した。
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