研究概要 |
プラズマ中の活性種の挙動を解明するため、プラズマ過程で重要な分子を電子で衝突励起し、生成したフラグメント種の高分解能発光スペクトルを測定して励起解離過程を解析すると共に、並進運動エネルギ-別の生成断面積を求めることを研究目的とする。本年度の主な成果は次の通りである。 1.装置の改良……補助金によりタ-ボ分子ポンプ購入し、現有電子ー分子衝突室の差動排気系を強化し高性能化した。これにより動作が安定し、長時間の積算が容易になった。 2.脂肪族炭化水素類の励起解離過程……エタン・プロパン・nーペンタン・nーヘキサンを電子で励起し、生成した励起水素原子のバルマ-線ドプラ-線形をファベリペロ-干渉計で高分解能で測定した。この4つの分子の励起解離過程は良く似ていて、励起水素原子の生成過程は主な成分が4成分ある。それらのしきい値と並進運動エルギ-分布の中心はエタンの場合、(1)19.6eV,1.5ー3eV、(2)24.0eV,0ー1eV、(3)31eV,2ー7eV、(4)>40eV,9ー14eVであった。各成分の励起解離過程の帰属を行うとともに、並進運動エネルギ-別の発光断面積を求めた。 3.塩化水素の励起解離過程……電子衝撃で生成した励起水素原子のバルマ-線のドプラ-線形と角度差ドプラ-線形を求め、励起解離過程の帰属と関与する励起リドズルグ状態の対称性を決定した。 4.水素の方位量子分布……水素の電子衝撃で生成する励起水素原子の方位量子数分布を明らかにするため、赤外部にあるPashen系列の発光を測定し、発光断面積を予備的に決定した。H^*(4f)の生成断面積はかなり大きく、核間距離の大きいところでの前期解離により生成したものと帰属した。
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