研究課題/領域番号 |
02216108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石井 武比古 東京大学, 物性研究所, 教授 (00004284)
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研究分担者 |
柿崎 明人 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60106747)
曽田 一雄 東京大学, 物性研究所, 助手 (70154705)
藤森 淳 東京大学, 理学部, 助教授 (10209108)
鈴木 章二 東北大学, 理学部, 助手 (10091703)
佐藤 繁 東北大学, 理学部, 教授 (10005796)
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キーワード | アクチナイド化合物 / 重いフェルミ粒子 / ランタナイド化合物 / 5f電子 / X線光電子分光 / 共鳴光電子分光 / BIS / ウラン化合物 |
研究概要 |
本研究はアクチナイド化合物の示す多彩な物性の発現の担い手である5f電子が物質内で持ち得るエネルギ-準位の分布を知ることを目的としている。これまでに、占有準位と非占有準位の状態密度を同一試料について求めるためにX線光電子分光(XPS)とX線逆光電子分光(XBIS)の測定系を建設したが、とくに、XBISの測定精度が不十分であった。本計画においては、その点を改善することを最重点目標におき、X線発生用の電子銃を直熱型のものから傍熱型でピアス方式のものに変更した。この結果、エネルギ-分解幅を従来得られていた0.75eVから0.55eVまで低下させることに成功し、これにより、測定の精度が向上した。現在我国において入手可能なアクチナイド試料はU化合物であるので、本計画においても、具体的に研究対象となったものは、UGe_2,U_3Ge_4,UB_<12>,U_2PtSi_3である。これらの試料のうち、UGe_2およびU_3Ge_4については、これまでにも測定が行われたが、試料の酸化の影響が除去できず、信頼できるデ-タが得られたとは言い難かった。本研究では、その点が改良された。前年までに得られているUCのデ-タも含めて解析し、U化合物のU5f電子は、光電子スペクトルで見るかぎり、大雑把に言えば、遍歴型に近い。従って、その状態密度曲線はエネルギ-バンド近似によるものと比べるのが妥当である。局在性の効果は内〓準位線のサテライトや共鳴光電子放出の中に現われている。今回はこれらのデ-タを総合的に整理するまとめの仕事も行われた。 アクチナイド化合物の5f電子の状態を理解するために比較検討されるランタナイドの研究は活発に行われ、単結晶CeNiの共鳴光電子分光において新しい発見があったのをはじめ、見るべき成果があった。Yb化合物については、新しい実験設備が完成し、実験可能なスペクトル領域が拡大し、共鳴光電子分光が可能になった。
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