研究概要 |
アロマタ-ゼPー450はアンドロゲンからエストロゲンを合成する酵素である。本酵素は主として主殖器官に検出されるが、近年、脂肪組織や脳に於いても活性が報告され、その生理的意義や発現の判御の解明が期待されている。我々はすでに本酵素のヒト由来のcDNAを単離し、蛋白の金一次構造を決定したが、今回はこのcDNAを用いて、本酵素の遺伝子を単離し、その構造特性を明らかにすると同時に、その発現制御の解明を行なった。またマウスの卵巣からcDNAを単離すると同時に、関連するPー45_<11β>およびPー450aldoのcDNAおよび、ゲノム遺伝子を単離した。アロマタ-ゼ遺伝子の研究成果の詳細は以下の通りである。(1).ヒトアロマタ-ゼPー450のゲノム遺伝子は10ケのエクソンと9_Tのイントロンから成り、翻訳開始点および終止部位は第2および第10エクソンに存在する。(2)、プロモ-タ-領域にはTATAboxやCAATboxが存在し、また2つのAPー1結合部位がある。(3)、転写間始点よりー500〜ー243の間に転写を抑制するCis配列がある。(4)、ー242〜ー183の間には、いわゆるエンハンサ-活性のあるCis配列が存在し、この領域には、発がんプロモ-タ-の一種であるTPAに反応する配列が存在する。(5)、BeWo細胞軸出液にはこのエンハンサ-領域に結合する核内因子が存在する。(6)、マウスの完全長のcDNAを単離すると翻訳領域は、ヒトの場合と同じく、150qbpのフクレオチドから成り503個のアミノ酸をコ-ドすることが判明した。(7).ラット、ヒト、ニワトリのcDNAとの相同性は91,81,69%であった。 以上の様に本遺伝子の発現には、正および負の色々な制御因子が関与しており、今後その制御機構の詳細をさらに究明する予定ゐある。
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