研究概要 |
エイコサペンタエン酸(EPA)の生体内挙動の解明の一環として以下の検討を行った。(1)EPA摂取による健常人血中△ ^<17>ー6ーketoーPGF_<1a>の定量:EPA摂取に伴う健常人血中のPGI_3量の変動解析の指標として△ ^<17>ー6ーketoーPGF_<1a>の検討を行った。EPA(500mg/day)を摂取した健常人9検体の、EPA投与前、2週間連続摂取直後、摂取終了の2週間後の3回血液を採取し、血漿中の△ ^<17>ー6ーketoーPGF_<1a>および6ーketoーPGF_<1a>量をGC/SIM法により定量した。その結果、健常人の△ ^<17>ー6ーketoーPGF_<1a>は、20ー80pg/ml,6ーketoーPGF_<1a>は、20ー650pg/mlの範囲で変動した。EPAの摂取に伴い△ ^<17>ー6ーketoーPGF_<1a>の増加が認められ、摂取終了減少した。一方、EPA摂取終了後の2週間後において、6ーketoーPGF_<1a>含量は、全例において顕著に減少し、EPAの摂取がPGI_2の生成に影響を与えることが示唆された。(2)尿中11ーdehydroーTXB_3の検出:5gのEPAを7日間投与した健康成人の24時間尿を、11ーdehydroーTXB_2の抽出精製法に従って処理し、得られた画分を、DMIPSエ-テル誘導体化した後、GC/HRーSIM(装置分解能:5000および10000)にて検索した。調製した試料を65%ーphenylmethylsilicone化学結合型キャピラリ-カラムを用いてDMIPS誘導体に特徴的な[MーC_3H_7]^+イオンにより分析するとき、11ーdehydroーTXB_3誘導体の特徴的イオン(m/z696,4509)に応答するピ-クの溶出を認めた。同成分のマススペクトルの解析より11ーdehydroーTXB_3と同定された。(3)TXB_3の生物変換法による調製法の検討:EPA(10mg)とヒト血小板(200ml)を37°C、30分間の反応液中のPG画分を、DMIPSーimidazoleにより誘導体化し、GC/MSにてTXB_3を検索した。抽出画分のDMIPSエ-テル誘導体のマススペクトルの検討より、TXB_3の産生が確認され、生物変換によるTXB_3の調製が可能となった。本法により、11ーdehydroーTXB_3あるいは、2,3ーdinorーTXB_3などのTXA_3代謝物の標品とその同位体を用いた内部標準物質の調製が可能となった。
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