研究課題/領域番号 |
02218203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
名倉 宏 東北大学, 医学部, 教授 (90022821)
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研究分担者 |
後藤 邦彦 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (70133056)
増田 高行 東北大学, 医学部, 助教授 (00113910)
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キーワード | 食品内抗原 / 局所免疫機構 / 腸管上皮細胞 / Ia抗原 / ICAMー1 / 潰瘍性大腸炎 / パイエル板 / 抗原提示細胞 |
研究概要 |
本研究は、消化管内の感染微生物や化学物質、食品内抗原物質に対する生体の防御機構の解析を、粘膜における局所免疫機構を軸に展開してきた。平成2年度では、消化管での抗原認識とその制御機構を解明することを目的に研究計画を設定した。 (1)腸内抗原と小腸上皮細胞のIa抗原ーラットならびにヒトの小腸絨毛上皮細胞は常時class II主要組織適合性抗原群(Ia抗原)が出現しているが、陰窩細胞には認められなかった。腸内抗原の腸管内への取り込みを主たる機能としているパイエル板被覆上皮細胞中のM細胞におけるIa抗原の表出を免疫電顕法で証明した、これらの上皮細胞のIa抗原は腸内細菌を欠く無菌ラットではほとんど表出されず、また免疫抑制剤であるシクロスポリンAで消失することを観察した。逆に免疫賦活剤の一つである、OKー432のパイエル板内接種により陰窩上皮細胞にもIa抗原が陽性となった。これらIa陽性上皮細胞群はマクロファ-ジや樹状細胞とともに消化管粘膜において、抗原提示細胞群を構成し、腸内抗原に対応していることが明らかとなった。 (2)潰瘍性大腸災の病因と局所免疫機構の破錠ーその活動期において、大腸粘膜上皮細胞および陰窩上皮細胞にIa抗原が出現し、同時にintercellular adhesion molecule(ICAM)ー1が発現していた。その上皮細胞間ではT細胞レセプタ-γδ鎖陽性CD8T細胞が減少し、large granularlymphocyte型の成熟したものが消失、幼若型が残存していた、拡大した固有層には増生した血管内皮細胞およびS100陽性樹状細胞におけるIa抗原、ICAMー1の出現が増強されていた。すなわち腸内抗原に対する免疫災症反応の促進と制御異常が示唆され、局所免疫機構の改善をタ-ゲットにした、食品内活性物質を用いた治療法の開発の可能性を提唱した。
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