モニタ-ペプチドに予め放射性ヨウ素で標識を行い、SDS電気泳動法でモニタ-ペプチドと特異的に結合するバンドを検出した。分子量約5万と約7万にブロ-ドな結合を示すタンパク質のバンドが検出された。これらの結合は大量のEGF(モニタ-ペプチドと一部共通のアミノ酸配列を持つ)によって阻害されず、大量の非標識モニタ-ペプチドによって阻止された。従ってモニタ-ペプチドに特異的な結合である可能性が高い。これらの結合の、CCK放出に対する生理的意義は今後検討されなければならない。モニタ-ペプチドのアミノ酸配列を基に化学合成した種々のペプチドを用いてモニタ-ペプチドのレセプタ-に結合活性を持つものを検索したところ、モニタ-ペプチドのC末端付近に対するペプチドに、弱いながらも結合を阻害する作用があった。この部分がモニタ-ペプチドとレセプタ-との結合に直接関与する部位である可能性が示唆された。 高いタンパク質食を与えたラットの膵臓におけるモニタ-ペプチドmRNAレベルの変化を測定した。ラットには14日間、64%カゼイン食を与え、経時的に屠殺した。コントロ-ルとして22%のカゼイン食を与えた。高タンパク質食の摂取によって、プロテア-ゼのmRNAは1週間以内に速やかに増加し、アミラ-ゼのmRNAは反対に減少した。モニタ-ペプチドのmRNAはプロテア-ゼのそれと同じく、高タンパク質食によって増加した。また、膵臓チモ-ゲン顆粒内の酵素量およびモニタ-ペプチド量も、対応するmRNAと同様の挙動を示した。これらの結果、高タンパク質食の摂取に対して、これを消化するためにプロテア-ゼが適応的に増加し、膵消化酵素を分泌する信号であるモニタ-ペプチドの合成もまた適応的に増加していることが示された。
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