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1990 年度 実績報告書

脳由来コンドロイチン硫酸プロテオグリカンによる神経突起形成の制御

研究課題

研究課題/領域番号 02220223
研究機関愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所

研究代表者

大平 敦彦  愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 室長 (20101074)

研究分担者 松井 ふみ子  愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所, 助手
仙波 りつ子  愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所, 主任研究員 (80100163)
キーワード脳 / コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / 神経回路 / 神経突起 / モノクロ-ナル抗体
研究概要

脳の発達過程において、神経芽細胞が神経突起を伸長し、神経回路網を形成する段階は極めて重要である。分化途上の脳の細胞間隙に存在するコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)群は、この突起伸展を制御している分子のひとつと考えられる。
生後10日のラット脳には、リン酸緩衝塩溶液により可溶化される、少なくとも5種類のCSPGsが存在する。このうち、分子量250kDaのコア蛋白質を持つCSPG(CSPGー250)は、生後のラット脳に、常に一定量存在することが分かった。CSPGー220は、出生直後の脳のCSPGの主成分であるが、発達に伴い急速に減少し、生後30日には検出できなくなった。逆に、CSPGー150は、出生直後から10日にかけて、急激に増加し、成獣脳の主なCSPGとなった。
可溶性CSPGsが神経突起の伸長に及ぼす効果を調べるため、培養皿の表面をいろいろな濃度のCSPG溶液で処理し、その上で、胎生16日のラット脳から調製した神経芽細胞を培養した。CSPGsは、濃度依存性に神経突起伸長を促進した。この突起伸展を促進する活性は、おもにコア蛋白質側にあることも明らかとなった。
どのCSPG分子種が、突起伸展を促進する活性を持つのかを調べるためには、個々のCSPGを単離する必要がある。そこで、CSPG混合物を抗原として、個々のCSPGコア蛋白質に特異性を持つモノクロ-ナル抗体を作製し、それを利用して、CSPGの単離を行うことにした。これまでに作製したモノクロ-ナル抗体のなかに、CSPGー220とCSPGー150とを認識するものがあった。脳の発達過程において、全く逆の発現様式を示すCSPGー220とCSPGー150が、同一の抗体で認識されることは、興味深い。現在、これらの抗体を産生するハイブリド-マを用いて、腹水からの抗体の調製を計画している。そして、免疫アフィニティ-法により、個々のCSPGを単離する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Ritsuko KatohーSemba: "Changes in glycosaminoglycans during the neuritogenesis in pheochromocytoma cells induced by nerve growth factor" Journal of Neurochemistry. 55. 1749-1757 (1990)

  • [文献書誌] 仙波 りつ子: "神経細胞の形態変化とプロテオグリカン" 細胞. 22. 340-345 (1990)

  • [文献書誌] Nobuaki Maeda: "Proteoglycan and development of the brain:Functional roles of brain chondroitin sulfate proteoglycans" Trends in Glycoscience and Glycotechnology. 3. 28-34 (1991)

  • [文献書誌] 松井 ふみ子: "神経細胞の分化制御因子としてのプロテオグリカン:神経系の高次構造構築の分子機構解明をめざして" 化学と生物. 29. (1991)

  • [文献書誌] Noboru Iijima: "Core protein of chondroitin sulfate proteoglycan promotes neurite outgrowth from cultured neocortical neurons" Journal of Neurochemistry. 56. (1991)

  • [文献書誌] Atsuhiko Oohira: "Inhibitory effects of brain chondroitin sulfate proteoglycans on neurite outgrowth from PC12D cells" Journal of Neuroscience. 11. (1991)

  • [文献書誌] 大平 敦彦(分担執筆): "バイオサ-ファクタント「脳の形態形成と細胞表層複合糖質」pp.303ー314" サイエンス フォ-ラム(安田,相原,上田,野崎編), 464 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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