研究課題/領域番号 |
02226107
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小野寺 龍太 九州大学, 工学部, 教授 (40038021)
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研究分担者 |
東田 賢二 京都大学, 工学部, 助手 (70156561)
成田 舒孝 京都大学, 工学部, 助教授 (10026213)
荒牧 正俊 九州大学, 工学部, 助手 (50175973)
美浦 康宏 九州大学, 工学部, 教授 (80037879)
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キーワード | 高温超伝導材料 / 粉末法 / 塑性加工 / 変形能 / 高温変形 / 集合組織 / 熱処理 |
研究概要 |
酸化物超伝導体の線材加工およびテ-プ材の圧延加工に及ぼす諸種の要因の影響は次のようにまとめることができる。(1)金属管に封入された酸化物粉末をスウェ-ジング加工する場合、管材の破壊は内部の粉末の流動性の良否によって強い影響を受ける。すなわち黒鉛のように流動性の良い粉末の場合、YBCO粉のように流動性の悪いものに比べ著しく早期に管材の破壊が起こることが実験によって明らかにされた。しかしながら管の内面の形状はYBCO粉の場合のほうが凹凸が大きく管材の肉厚に不規則さが現れた。(2)銀シ-ステ-プの圧延において欠陥はシ-ス材の破壊という形で出現するが、この破壊に及ぼす粉の粒径、中間焼鈍および加工温度の影響を調べた。粒径は細かいほど加工性がよく初期粒径56μmの場合は冷間圧延で0.2mmの板厚で破壊が生じたが、20μmでは0.1mmまでまた0.3μmアルミナ粉では0.05mm以下までの加工が可能であった。中間焼鈍の影響はほとんど認められなかったが熱間圧延(800℃)では0.25mmでシ-ス材に破壊が現れ熱間加工は加工性には悪影響を与えることが明らかになった。 酸化物超伝導体は高温で圧縮加工が可能であり、歪速度3*10^<ー5>/sでYBCOでは820℃で50%以上、BPSCCOでは720℃以上で80%以上の加工度が得られた。YBCOでは温度低下と共に降伏応力が著しく上昇し、また降伏点現象も観察されたが、BPSCCOではこれらの現象は顕著ではなく、加工硬化現象が現れた。いずれの場合も歪速度を増大するとクラックの発生など変形能の低下が見られた。このような圧縮変形によって圧縮面でのX線のc面反射強度は増大することから、高温では(001)面すべりが起こる事が示唆された。高温変形後の酸化物焼結体の伝導特性の回復のための適当な熱処理条件を探るため、熱重量変化を調べた。その結果空気中840℃で変形後、酸素気流中で熱分析を行った試料では900℃保持中に重量減少が生じ、X線図形にCuOの小さなピ-クが現れた。そこで酸素を吸収する斜方晶の温度域で酸素気流中の時効を施した後、熱重量分析を行った結果900℃での重量減少がなくなりまたCuOのピ-クも生じなかった。この熱処理によって伝導特性は回復しまたc軸優先配向も阻害されなかった。
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