研究課題/領域番号 |
02227203
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺井 隆幸 東京大学, 工学部, 助教授 (90175472)
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研究分担者 |
榎本 陽一 NTT電子応用研究所, 主幹研究員
小久保 三也 東京大学, 工学部, 助手 (20107577)
米岡 俊明 東京大学, 工学部, 助手 (40013221)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / 放射線 / 臨界温度 / 臨界電流密度 / 照射欠陥 / 結晶構造 |
研究概要 |
高疾超伝導酸化物の材料化のためには、臨界温度(Tc)の向上とともに、臨界電流密度(Jc)の向上が重要な課題である。超伝導体に放射線照射を行ない、積極的に、照射欠陥を生成することにより、Jcの向上をはかる実験が行なわれており、主に磁化のヒステリシスからビ-ンモデルを用いて算出したJcの向上が報告されているが、特に輸送電流については、その効果は十分には定量化されていない。本研究では、照射欠陥生成によるJc向上を目指し、イットリウム系(Ba_2YCu_3O_x,以下BYCO)バルク試料および高配向性薄膜試料、あるいはビスマス系(Bi_2Sr_2CaCu_2O_y、以下BSCCO)試料に中性子、γ線、電子線、イオンビ-ムなどを照射した時のTc、Jcの変化を測定し、照射欠陥生成のメカニズムとJcへの寄与を明らかにすることを目的としている。平成2年度はC軸配向性BYCO薄膜試料(77KにおけるJcは10^5A/cm^2のオ-ダ-)にAr^+イオン、He^+イオン、電子線照射を行ったときのTc、および輸送臨界電流密度(Jc_T)の変化および結晶構造の変化について測定を行った。高フルエンス照射時においては、TcおよびJc_Tの低下、結晶構造のアモルファス化と結晶のc軸方向への膨張を確認した。なお、これらの超伝導特性や結晶構造の変化を引起こす“臨界フルエンス"は、照射粒子のエネルギ-や質量によって異なり、質量の大きいイオン程その効果は顕著であった。一方低フルエンス照射時においては、照射損傷によって導入される磁束のピン止め中心の数密度の増加によると思われる結晶粒内臨界電流密度(Jc_M)の向上を確認したが、このときTcの変化は見られなかった。またBSCCO(80K級)単結晶試料を用い、電子線照射を行い、Jcが照射により著しい増加を示す(最大値は、40K、0.3Tにおいて80倍の上昇率)という結果を得た。
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