研究概要 |
本年度は当初の研究計画に基づいて平成元年度より引き続き以下のことについて研究を推進した。(1)酸化物超伝導体に捕獲されたフラクソイド動特性の研究、特に粒間及び粒内流密度の評価法の確立、(2)超高圧装置を用いた新しい材料の開発と特性の明確な超伝導体のピンニングカに対する種々の処理効果に関する研究、(3)新超伝導体の探索及びその材料物性。 フラクソイド動特性の研究は、第一報をJJAPに発表し,さらにその後得られた研究成果を逐次物理学会、応用物理学会等で報告してきた。平成2年度は、以下に示す三つの方法によって、粒界と粒内電流を分離して評価することができるようになった。 (1)磁場及び磁場匂配のパルス的変化にともなう磁化過程並びにパルス的IーV特性の測定(粒内及び粒界電流評価)、(2)残留磁化及び局所的磁化の磁場下でのヒステリシス曲線から粒内及び粒界電流密度Tc,Tcw及び第一,第二臨界磁場Hc_1,He_<1w>,Hc_<2w>等の評価、(3)磁場下でのX^1,X^<11>vsT,RvsTの同時測定による粒界臨界電流密度Jcw及び臨界温度Tc_1,Tc_2の評価。方法(2)の有効性及び粒内臨界電流密度の磁場依存性等について平成2年度春秋の学会及びISS'90等で報告し,現在論文準備中である。目的(2)に示されている種々の材料開発及び評価は、装置開発と並行して行われており,高圧及び熱処理の効果について、MPMG法により作製した試料等との比較を行えるようになった。目的(3)に関しては,TlーSrーCuーOを基礎にした系について超伝導性の発現及び新超伝導体の発見等をJJAP等で報告してきたが、今年度は、超伝導関連物質として,Tl(Sr,Ln)_2(Lr^1,Ce)_2Cu_2O相を発見し報告した。全体に当初の研究計画に沿って進展しており,来年度は種々の材料に対する系統的デ-タを公表できる状況である。
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