研究概要 |
本研究班では,リモ-トセンシング画像に含まれる情報を,階層化した処理を導入して,効率よく抽出・処理することにより,人間に必要な高レベルの情報を提供する手法を開発することを目的とした.すなわち,従来の画一的手法にはみられない人間の思考過程に近い処理手法による高度の情報処理の可能性を検討することを目的とした.具体的には,自動レジストレ-ション手法,重み付き変化域の抽出,事前情報・知識の導入による処理,処理結果の観測系への帰還による階層化センサ開発をテ-マとした.(1) <自動的レジストレ-ション手法>___ー 多次元画像処理では画像同士を精度よく重ね合わせねばならない.幾何歪を対象とし,アフィン変換で重ね合わせのできる領域を階層的に求める手法を開発した.重ね合わせの評価には散布図上での相関係数を利用した.(2) <変化の予測に基づく重要度に重みをつけた変化領域抽出>___ー 1年以内に得られた異なる季節の画像セットと,数年を隔てた同種のセット(計4画像)の処理に基づく季節変化と恒常変化の判別法を開発した.季節変化は年を隔てて元に戻り,恒常変化はそうではないことに注目し,論理的に矛盾のない変化パタ-ンを抽出して両者を区別できることを明らかにした.(3) <対象物に関する知識や a priori 情報導入>___ー 地形情報に関する有力な知識である地図を用いて画像を階層化して分類する手法を開発した.人工衛星からの画像では農地,森林等の面的構造を抽出できても,道路,鉄道などの線的構造を抽出することは困難である.知識を利用して線的構造を抽出し,総合的な分類精度を向上できることが判明した.(4) <階層化センサの開発>___ー 高感度高分解能画像化分光センサを開発し基礎実験を行なった.分光分解能が約1.5nm,対象面の放射照度が100lux程度で測定が行えることが分かった.また.酸性の水に浸した植物の葉の分光特性が700nm近辺で僅かに変化することも明らかにした.
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