研究概要 |
1.アミノ酸の多点分子認識場の設計と多点分子認識の熱力学 水素結合部位を有するRhーポルフィリンとOーアミノ安息香酸エステルとの二点(金属配位ー水素結合)錯形成の選択性を詳細に検討し、多点相互作用の熱力学的な側面を明らかにした。 2.ジカルボン酸の二点捕捉における鎖長選択性 レゾルシンーアルデヒド環状四量体とジカルボン酸との二点水素結合においては分子模型より予想されるとうりの極めて大きな鎖長選択性が発現することを明らかにした。 3.二点水素結合にもとずくポルフィリンーキノン構造体の構築 二つの水素結合部位を有するポルフィリンはpーキノンとの二点水素によりこれを固定し、faceーtoーface型のポルフィリンーキノン錯体を形成する。安定性は水素結合の強さ(NMR.IRのシフトより評価可能)の他、ポルフィリンとキノン間の電荷移動型の相互作用が重要である。このような錯体においては光動起ポルフィリンからキノンへの電子移動が容易に起こり、光合成モデルの観点からも興味深い。 4.二点水素結合にもとづくジオ-ルのとりこみと立体選択性 レゾルシンーアルデヒド環状四量は多点ではあるが二次元的な結合場を有しており、、環状ジオ-ル(例えばシクロヘキサンジオ-ル)の捕捉においては三次的な立体選択性が発現することを明らかにした。 5.超分子錯体により立体化学の解明 レゾルシン環状四量体と光学活性のゲスト(糖やステロイドを含む)との錯体は誘起円二色性が認められる。そのコットン効果の符号はゲスとの立体構造を反映すること,換言すればコットン効果の符号より立体構造が判明することを認めた。
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