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1990 年度 実績報告書

モリブデンあるいはタングステンーホスフィン複合系を用いた有機合成

研究課題

研究課題/領域番号 02231208
研究機関東京大学

研究代表者

干鯛 眞信  東京大学, 工学部, 教授 (60011011)

研究分担者 石井 洋一  東京大学, 工学部, 助手 (40193263)
溝部 裕司  東京大学, 工学部, 助手 (40175609)
キーワードジアゾアルカン錯体 / アルケニルジアゼニド錯体 / アルキル化 / アシル化 / シリルアミン / シリル化 / ゲルミル化
研究概要

ジアゾアルカン錯体はその特異な構造から合成化学的に興味ある反応性が期待できる。本研究では主としてジアゾアルカン錯体からアルケニルジアゼニド錯体の生成とその反応を検討した。ジアゾアルカン錯体[WF(NN=CMe_2)(dpe)_2][BF_4]をベンゼンに懸濁し、LDA等の強塩基で処理すると速やかに赤色溶液となる。 ^1H NMRから2つのMe基のうちNの孤立電子対に対してcisのMe基から選択的に脱プロトン化が起こり、アルケニルジアゼニド錯体[WF(NNCMe=CH_2)(dpe)_2](1)が生成したことが判明した。1は通常のジアゼニド錯体よりも低波数にν(N=N)を示すことからC=C結合末端に負電荷のある共鳴構造の寄与が大きいと考えられる。類似のアルケニルジアゼニド錯体[WF(NNCH=CMe_2)(dpe)_2]についてX線結晶解析を行ったところ、アルケニルジアゼニド配位子は共役系の平面構造をとり、C=C結合が1.40(4)Aと長く、NーC結合が1.24(3)Aと短いことがわかった。また、ジアゾアルカン錯体[WF(NN=CHEt)(dpe)_2][BF_4]の脱プロトン化では立体選択的にZ体が生成することも見いだした。アルケニアルジアゼニド錯体は上記の構造から末端炭素に求核性が期待できる。実際、1とアルキルハライドの反応ではCーアルキル化されたジアゾアルカン錯体が高収率で得られた。また1をMeI、ついでEtIでアルキル化すると選択的α,αージアルキル化が可能である。生成したジアゾアルカン錯体は塩基加水分解によりカルボニル化合物を〜40%で与えたことから、本反応はカルボニル化合物の化学変換法としても興味深い。さらにイソシアナ-トなどとの反応により、モノ、あるいはジーCーアシル化を行うこともでき、ジアシル化体はX線解析で構造決定した。この他、窒素錯体を用いた触媒的シリルアミン合成に関連して、新たに配位窒素の(ClMe_2SiCH_2)_2/NaIによるジシリル化、シリルコバルト錯体によるシリル化、Me_3GeCl/NaIによるゲルミル化反応を見いだし、生成物の構造解析を行った。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Youichi Ishii: "Regioselective Alkylation of Tungsten Diazoalkane Complexes via Alkenyldiazenido Complexes" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1569-1571 (1990)

  • [文献書誌] Hidekazu Miyagi: "Regioselective Monoーand DiーCーacylation of Tungsten Diazoalkane Complexes via Alkenyldiazenido Complexes" Chem.Lett.

  • [文献書誌] Hiroyuki Oshita: "Novel Disilylation and Germilation of Coordinated Dinitrogen in cisー[W(N_2)_2(PMe_2Ph)_4]" Chem.Lett.1303-1306 (1990)

  • [文献書誌] Andrew C.Street: "Silylation of Coordinated Dinitrogen by Silylcobalt Complexes.Preparation of a New Series of Silyldiazenido and Silylhydrazido(2ー) Complexes of Molybdenum and Tungsten" Chem.Lett.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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