研究概要 |
硫化物によるGaAs表面処理法の中で、最も効果的であった多硫化アンモニウム溶液(NH_4)_2S_x,(1<x<3)を用いて、GaP、Al_xGa_<1ーx>As(3≦x≦0.4)、InP、InAsに於ける処理効果を比較した。これまでの化学エッチ処理面の場合と異なり、ショットキ-障壁の高さは、各種金属の仕事関数に対応した変化が観測される。これはGaAsの時に得られた結果と一致しており、界面準位密度が低減した為であると解釈される。しかし,(Al・Ga)Asの場合、特にAlの成分比の高いときは、予想されたように、表面の酸素は除去しきれなく、その処理効果は制限されることがわかった。その対策として、無水系すなわち有機溶剤中の硫黄による効化を確かめた。今後その最適化の研究が必要であるが、この事実は非常に重要なことである。 更に、表面状態の変化をオ-ジェ電子分光法や反射高速電子線回折、光電子分光法などにより評価した結果から、IIIーV族半導体表面に於ける硫黄処理効果の普遍的であることを確かめた。 また、Pd/GaAsのショットキ-接合を詳しく調べた。この界面は反応性の高いものであるが、その反応度が、電圧・容量特性、水素に対する感応性の変化、更に低温での電圧・電流特性に直接関与することを見いだし、またこれらが硫黄による表面処理によって制御されることを見つけた。またこの界面の電気特性の動的変化から、水素のPd膜中及び界面での挙動が、数種類の時定数を持つ事を見つけた。今後の解析により、界面での水素の挙動とその役割を解明する手がかりとなることを期待している。
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