研究概要 |
金属ー半導体界面の構造制御に「半導体表面におけるエレクトロマイグレ-ション」を利用することを提案し,実際にそれを試みる。本年度は半導体界面形成に関連するエレクトロマイグレ-ションの基本的特性を解明することに重点をおいて研究を進め,以下の成果を得た。 1)Ge(111)およびGaAs(100)上のAgがエレクトロマイグレ-ションすることを見出した。とくに,GaAs上のAgは島状成長するが,このような系に対する電気力による質量輸送ははじめての観察であり,従来にはない輸送形態を示すことを見出した。 2)エレクトロマイグレ-ションの駆動力をSi(111)上のAgに対して調べ,電界に比例する力がはたらいていることを明らかにした。 3)Si(111)微傾斜面のステップ構造と熱処理の関係を低速電子線回析法で明らかにし,その表面上でのエレクトロマイグレ-ションおよび拡散を調べた。その結果,質量輸送はステップエッヂに平行な方向と垂直な方向で著しく異なり,Agは平行な方向へ輸率が高まり垂直方向では平坦面上とほとんど変わらなかった。これに対し,Inは,平行方向は変らず,垂直方向が著しく減少した。 4)格子ガスモデルに基づき,表面に沿った一様力の存在のもとで,金属固有層上の金属原子輸送過程と超薄膜パッチ構造緩和との相関を,計算機シミュレ-ションによって調べた。異なる振舞示すAg/Si(111)とIn/Si(111)の実験結果を,定性的ではあるが,統一的に説明することができた。
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