研究概要 |
Ni/SiCオ-ミック接触形成時に熱処理後のNiアロイ中生じる遊離カ-ボンの起源を明らかにする事を目的として険討を行った。 当初Acheson法による6HーSiC結晶を用いて検討を行う予定であったが、この結晶では結晶中にカ-ボン析出物が存在することが明らかになり実験に用いるには不適当と判断されたため、本検討ではCVD法による3CーSiC結晶のみを対象として検討を行うことにした。CVD成長によるSi基板上の3CーSiC成長層では基板との格子不整合による転位や〈111〉基板上では双晶によるグレイン境界が存在する。これら結晶欠陥は不純物の蓄積の生じやすい箇所であることはよく知られており、これら部分に成長中に蓄積したカ-ボンがアロイ中に観察される遊離カ-ボンの原因になる可能性がある。そこで本検討では3CーSiCの低転位高品質結晶を用いて検討を行うため、3CーSiCの低温域での成長機構を解明すると共に高品質層エピタキシャル成長条件を検討した。 その結果C_2H_2とSiH_4を原料として用いた場合成長温度1150℃ではSiH_4供給量を制御することによりSiC成長速度と結晶性を制御可能であること。また成長層の組成は原料ガスの供給比率によらず常にストイキオメトリ(Si/C比)の保たれた状態でSiCの成長が生じること等を明らかにした。またその成長機構は基板表面を覆う1ML程度のC層上へSiが付着しSiCを形成した後、そのSiC分子が表面をマイグレ-トする事により成長が生じることも明らかにした。これらの結果は電通学会研究会(1990,10,東京)で発表すると共に、気相成長エピタキシ-国際会議(1991,7,名古屋)で報告する予定である。また今後のこの成果を基礎として高品質3CーSiC層を用いてNiアロイ中の遊離カ-ボンの起源を解明する予定である。
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