研究概要 |
1.結晶完全性の高いタングステン単結晶を育成する条件を調ベるためにCuKαX線を用いて実験を行なった。 (1)二次再結晶法において重要な微量添加物(CaO)のド-プ量を変化させた試料の結晶完全性を二結晶トポグラフィ及びロッキングカ-ヴ測定により評価し,最適ド-プ量に関する知見を得た。 (2)薄片化したタングステン単結晶の結晶完全性が再高温焼鈍により向上する事を見いだした。 2.高エネルギ-物理学研究所、放射光実験施設に於てSi(220)二結晶モノクロメ-タ-で単色化した放射光を用いてタングステン110及び220反射のトポグラフの撮影及びロッキングカ-ヴ測定を行なった。 (1)40,50,60keVの放射光を用いて、ロッキングカ-ヴの半値幅50ー80"、ピ-ク反射率7ー18%を得た。現在のタングステン単結晶の結晶完全性は、高エネルギ-X線領域のモノクロメ-タ-として用いるには必ずしも満足できるものではなくより良い結晶完全性を示すタングステン単結晶の育成が必要なことがわかった。 (2)9keVの放射光を用いた場合、110及び220反射のピ-ク反射率はいずれも約30%であり、予想された110反射におけるピ-ク反射率の増大は観測されなかった。 (3)これまでの実験では結晶表面近傍の完全性しか評価できなかったが、60keVの放射光と薄片化したタングステン単結晶を用いて透過トポグラフの撮影及びロッキングカ-ヴ測定を行ない、結晶内部の完全性に関する知見を得た。
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