研究概要 |
1)形態異常幼虫致死変異株は、EMS処理した野生株より分離したものが既に9株あったが、本年度、さらにEMS処理した野生株より6株、ミュ-ラ-タ-株より9株分離し、合計24株になった。 2)マッピングの結果、I、II、III、IV、V、X染色体に位置する変異の数は、それぞれ2、8、4、2、7、1個であった。染色体上でのおよその位置も決めた。24の変異の内、同じ遺伝子のものが2組あった。また、既知の遺伝子の変異が4株あったが、他の多くは、未知の遺伝子、または既知でも表現型がほとんど解析されていない let遺伝子に属するらしい。 3)上述の変異を近傍の変異とバランスして維持しやすい形の変異株にし、ストックを作成した。 4)形態異常には、コイル状、4つ折り、2つ折りで体が短い、咽頭の周囲が太い、皮膚が凹凸、脱皮途中の死、体壁と腸の間に隙間、などがあった。微分干渉顕微鏡および蛍光顕微鏡(DAPI染色)により、孵化直後に体の中央部にある約120個の細胞核を調べた結果、核の数が大きく異なるものはないが、位置がずれているものがあった。ロ-ダミン・ファロイジンでアクチン繊維を染色したところ、繊維の向きが異常なものが2株あった。 5)また、これと並行して、合計11個のフッ素イオン耐性変異を解析した。これらは3つの遺伝子、flrー1,2,3にある。flrー1およびflrー3の変異は、強い耐性で、フッ素イオンの非存在下でも成長が遅く、成長に関連した変異らしい。これに対し、flrー2の変異は、弱いフッ素イオン耐性で、成長速度はほぼ成常であり、flrー1やflrー3の『成長速度が遅い』という表現型を抑制する(フッ素イオン耐性は抑制しない)。トランスポゾンタギング法によりflrー1の遺伝子クロ-ニングを行った。
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