研究概要 |
哺乳動物の発生の完了までには両親由来のゲノム共必要であることが明らかになっている。このことは父親由来、母親由来で異なる遺伝子発現をする染色体領域のあることを意味し、染色体刷り込み現象と呼ばれている。我々は内在性の遺伝的多型を示す反復配列、moー2をプロ-ブとして用い、刷り込み部位の同定と、その近傍に存在する遺伝子の単離を行うことを目的としている。moー2は31塩基を一つの繰り返し単位とする反復配列であるが、いわゆるミニサテライトとは異なり特定の染色体領域に限定して存在する。染色体上での位置を決定する目的でサザン法、PCRーSSCP法を用い、RIマウス糸統を調べた。CXBでは6/7で、CXSでは14/14で染色体11番、OXAでは13/14で染色体15番という結果を得た。これらの結果を確認するために、戻し交配マウスで確認中である。moー2の近傍の遺伝子も染色体刷り込みを受けている可能性が高いので、フランキング配列のクロ-ン化を試みた。moー2とB1,B2の配列をそれぞれプライマ-とし、PCR法で増幅させた。その結果、5個のクロ-ンを得た。これらのクロ-ンがmoー2反復配列のフランキングにあるのかmoー2の中にあるのかは今のところ明かではない。しかしながら、クロ-ン#1をプロ-ブとし、サザン法で検討すると、確かに性の違いにより異なるメチル化を受ける。B6を雌にしたときと、C3Hを雌にしにしたときでバンドの有無が異なることが分かる。すなわち、クロ-ン#1の遺伝子座は染色体刷り込みを受けていることを示している。このクロ-ンは刷り込み現象を担うメチル化の機構を検討するためのよいプロ-ブになるものと考えいてる。より大きなインサ-トをもつ他のクロ-ンについては現在解析中である。
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