研究課題/領域番号 |
02243115
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
坂本 英夫 奈良大学, 文学部, 教授 (50007118)
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研究分担者 |
小長谷 一之 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (50225463)
酒井 高正 奈良大学, 文学部, 助手 (60205705)
藤田 裕嗣 奈良大学, 文学部, 講師 (10181364)
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キーワード | 地理情報システム(GIS) / 地域分析システム / PCーARC / INFO / PCーSAS / 農業所得構造 / 近畿圏 / 多変量解析 |
研究概要 |
本研究では研究実施計画にしたがって技術的側面に重点を置き、1.地理情報システム(GIS)と統計分析システムを統合した地域分析システムの開発を行った。具体的には、地理情報システム「PCーARC/INFO」と統計分析システム「PCーSAS」がそれぞれ稼働している2台のパソコンを通信ソフトとケ-ブルで結合したうえで、双方向にデ-タを交換する手続きを構築した。これにより、従来はデ-タの互換性さえなく孤立していた両システムが有機的に結合され、1つの地域分析システムとして作動するようになった。2.あわせて、近代化による環境変化の影響が最も典型的に現れたと考えられる戦後の農業構造について、上記システムを用いた地域分析を行った。具体的には近畿圏全体(市町村単位)を分析対象としてとりあげ、(1)行政界デ-タを地図から「PCーARC/INFO」に入力するとともに、農業地理学の中心課題の1つである農業所得構造に関する統計デ-タを収集・整理し「PCーSAS」に入力した。(2)「PCーSAS」による統計デ-タの多変量解析処理を行い、その結果を「PCーARC/INFO」により地図化した。(3)逆に「PCーARC/INFO」により行政界デ-タの空間的分析を行い、「PCーSAS」によりその結果を利用して統計デ-タの空間的分布の特性の計測を行った。こうした分析は、従来の方法でこれらの分析を行う場合に比較して、非常に正確かつ効率的である。以上のように、本研究において開発したシステムは、地理学関係の教育・研究の現場に普及しつつあるパソコンのレベルにおいて、地域分析能力の向上に寄与し、近代化による環境変化の分析にも貢献することができる。今後は、システムの統合度を高めて自動化と一元化を図るとともに、事例研究の積み重ねの段階で明らかになる様々な問題点を解決していくことが課題になる。
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