本研究は神戸市を対象として1960年代より進められてきた大規模地形改変や市街地の土地利用形態の変化と土木工学・建築学分野における工学的手法との関係を明らかにしようとするものである。 大規模地形改変は、昭和30年以降に施工された1ヘクタ-ル以上の開発地と面積を調べた。その結果、六甲山系南部の旧市街地(東灘、灘、中央、兵庫、長田の5区)では1975年までに開発はほぼ終了し、1966年から1980年にかけては六甲山系西部の須磨、垂水区で、1976年以降では大阪層群や東播丘陵が広く分布する西区で大規模な開発が進行したこと、一方北区では1981年以降に大規模な開発が進行していることが明らかになった。また、神戸市における大規模地形改変は公営率が非常に高いことが特徴で、1956年から現在に至るまでの公営率は面積で65%にも達すること等を指摘した。 市街地の土地利用形態の変遷に関する調査としては、1910年から現在までの5時期における土地利用数値メッシュマップを作成した。土地利用形態読み取りの基礎資料としては国土地理院発行の1万〜2万5千分の1地形図を使用し、等積100mメッシュを用いた。土地利用形態の分類は水面、森林、水田、裸地・草地、大規模舗装面、大規模建物、散在建物、田園居住地、総描市街地の9種とした。メッシュマップ作成区域より4つの特徴的な地区(約2km×2km)をとりあげ、土地利用構成比の変遷を調べた。それらのうち、三宮・元町付近の都心商業地域では1935年に52%を占めていた総描市街地が、戦災の影響により1947年には28%に減少し、裸地・草地が2%から21%に増加している。その後、裸地・草地は減少し大規模舗装面と総描市街地が再び増加してきていることが明らかになった。
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