本研究は、庵美大島以南の琉球列島について、近世以降の土地利用形態の変化をマクロスケ-ルで捉えるともに、特徴ある土地利用形態の変化がみられる地域を取り上げ、ミクロスケ-ルでの詳細な土地利用形態の変化を明らかにすることを目的とする。 本年度は、土地利用をA山林原野、B農用地、C市街地、D軍用地の四つに大別し、大正期と現在の地形図の重ね合わせによって、土地利用が変化した地域についての図化作業を行なうことに重点を置いた。土地利用変化は、1山林原野から農用地、2山林原野から市街地、3山林原野から軍用地、4農用地から山林原野、5農用地から市街地、6農用地から軍用地、7市街地から山林原野、8市街地から農用地、9市街地から軍用地の9類型に分類した。これらの結果は、コンピュ-タマッピングにより図形デ-タとして磁気ディスクに保存し、次年度以降に予定している数量化のために1次デ-タとした。今回作成した図からは、およそ次のことが看取し得る。沖縄島においては、北部における山地開発と、中・南部における軍用地から市街地への顕著な変化がみられる。宮古諸島では、市街地拡大と、飛行場、ゴルフ場、公共施設の立地が目につくが、他の地域ほどの大きな変化はみられない。八重山諸島は、戦前のマラリア病の影響により、山林原野として放置されていた土地が、戦後の入植により、耕地として開発されるとともに、近年の市街地の拡大やリゾ-ト開発による土地利用の変化が著しい。
|