本年度の研究では、柿岡における超伝導重力観測の整備を行うと共に、予備的なデ-タ解析を行い、今後の課題等を明らかにした。以下に具体的な項目を示す。 1.高精度のA/D変換器の導入により、モ-ドシグナルの高速サンプリングを開始し、コアモ-ド等、地球の自由振動の解析を目標とした観測を開始した。これに伴に、計時システムの高精度化も行った。 2.重力以外の環境デ-タについてもディジタル化の予定であったが、これらついては、来年度以降に実施予定。 3.取得デ-タの有効利用のため、他機関とのデ-タ交換について検討を行った。具体的には、現在調整中。 5.超伝導重力観測に及ぼす環境の影響について、特に、傾斜変化の影響の見積を行った。その結果、10ngal精度での重力観測を実施するためには、現行の傾斜補償装置では必ずしも十分ではなく、温度補償等の対策が必要であることが判明した。 6.既に得られている約1年間の重力デ-タについて、予備的な地球潮汐解析を実施した。その結果、 (1)超伝導重力計の精度は、スプリングタイプの重力計に比べて、1桁程度向上している。 (2)半日、日周潮の主要潮汐については、極めて安定に振幅、位相が決定できる。 (3)FCNに伴う日周潮付近の共鳴現象が既に認められる。 (4)長周期潮の解析には、更に長期間のデ-タが必要である。 ことなどが判明した。 この種の研究では、長期間の観測デ-タを得ることが最も重要であり、今後も観測を継続する予定である。
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