研究代表者は、カメラから入力した実画像を、生体の一次視覚処理を真似た側抑制効果を持つ数段階の時空間フィルタ-に通し、水平線や垂直線のみを抽出した画像、および時間局所的な変化のみを抽出した画像に分解する方法ーーを研究した。また本年度の研究実施計画において、研究代表者は、過去に入力された実画像に対する特徴画像の記憶デ-タを参照することによって、現時点の特徴画像からア-ムの位置と姿勢を同定するプログラムーーを作成する予定であった。具体的には、特徴画像と位置・姿勢との対応関係を記憶するため、当研究代表者らが提案しているデ-タベ-スの自己組織化手法を利用する予定であった。しかし実験の結果、精密な位置・姿勢同定ができる程度の大規模なデ-タベ-スを構築すると、デ-タの検索時間の分散が極めて大きくなり実用上否定的な結論が得られた。そこで、デ-タ検索時間の分散を漸近的に小さくするようなデ-タベ-スの自己組織化手法を新たに開発し、その性能を理論的に調べた。この手法を実際に位置・姿勢の同定に使う段階までは至っていない。一方、研究分担者は、ある過去の時点から現時点までに生成された特徴画像の時系列に基づいてア-ム周辺の環境が将来どのように変化するかを予測する方法ーーを研究した。現在の計算機ハ-ドウエアのレベルでは時空間上の計算を実時間で実行できないので、障害物は常時変形しないこと、および、障害物の移動の加速度が一定であることを想定し、環境の変化を狭域に予測することとした。
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