研究概要 |
免疫モデルとして従来からよく解析がなされている数量的なモデルでなく,個別に認識能力ももった要素の相互結合による分散認識モデルを提唱した. この免疫モデルは相互結合された認識機能を持ったユニットによる協同認識により、自己(正常)/非自己(故障)の識別が可能となることを示した. ニュ-ラルネットワ-クからの類推により、分散診断モデルの、ニュ-ラルネットワ-クの学習アルゴリズムと同様な学習型診断アルゴリズムを提案した。ニュ-ラルネットで行われるようにリヤプノフ関数を用いて解の収束が言えるが、その収束の診断に置ける意味も考察した。 またこの分散診断モデルおよびその学習アルゴリズムの応用として, (1)診断を連想記憶における想起とみなして得られる新しい診断の概念である連想診断を提案した。連想診断では、診断の良い推量をキ-として与えそれにより正しい診断を「思い出す」。 (2)複雑なプロセスプラントの計装系におけるセンサ-情報の自己診断システムの構成方法を開発した. さらに免疫ネットワ-クのリヒタ-モデルを離散化しかつネットワ-ク型にした分散型モデルを作った.これに関して様々なシミュレ-ションを行った結果,(1)このモデルが免疫記憶をシミュレ-ションできること,(2)免疫記憶の特性であるLZT(Low Zone Tolerance)とHZT(High Zone Tolerance)ができること,および(3)ネットワ-ク型にすることにより多様な抗体に対応できる(記憶能力が増す)ことを検証できた.現在このモデルの応用を考えると同時に,他の記憶メカニズムを持ったモデルを検討中である.すなわち,このモデルは,免疫記憶を特定の抗体の欠落により実現するが,新しいモデルでは,抗原抗体反応のサイクルの存在により記憶を実現しようとしている.
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