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1990 年度 実績報告書

含ハロゲン海産天然物の生成に関する酵素反応

研究課題

研究課題/領域番号 02250203
研究機関北海道大学

研究代表者

村井 章夫  北海道大学, 理学部, 教授 (20000838)

研究分担者 中村 正雄  北海道大学, 応用電気研究所, 講師 (30109516)
キーワードハロゲン / ブロモパ-オキシダ-ゼ / ラクトパ-オキシダ-ゼ / 含臭素環状エ-テル / ロ-レジオ-ル / デアセチルロ-レンシン / ロ-レフシン / ロ-レオキサニン
研究概要

海産生物、とくに海藻がハロゲンを多く含んでいることは古くから知られていたが,どのような経路でハロゲンを取り込み,且つ蓄えるかは、きわめて興味のある問題である。我々はブロモパ-オキシダ-ゼの類縁酵素として,ラクトパ-オキシダ-ゼ(LPO)を用いた。LPOは,牛乳より得られ市販品が容易に入手できる酵素で,過酸化水素を第一基質として使い,Br^<【○!ー】>を二電子酸化してBr^<【○!+】>種を生じ,これにより第二基質である有機化合物と反応することが知られている。そこで基礎実験として,ゲラニオ-ルを第二基質とし酵素実験を行った。結果としてゲラニオ-ル末端ブロモヒドリンが生成したことより,Br^<【○!+】>種がこの反応に関与していることを強く想像させた。紅藻ソゾ属には今迄に数十種の含臭素環状エ-テルが単離,構造決定させている。これらの化合物はすべてロ-レジオ-ル類より分枝して種々の環状臭素エ-テルに至ると推定されていたが,その経路は構造上の関連から推定されたものであり,酵素化学的証明は皆無であった。我々は上述の基礎実験を基とし,酵素により生じたBr^<【○!+】>種が環状エ-テル化を引き起こすものと考えた。(6R__ー,7R__ー)ーロ-レジオ-ルを少量のDMSOに溶かし,NaBrを含むpH5.5のリン酸緩衝液に加え,続いてLPO,過酸化水素を12回に分け2時間の間に加えた。反応液をアルゴン気流の下5℃暗所にて24時間攪はんした所,首尾よくエ-テル環化反応が進行し,デアセチルロ-レンシンが生成することに成功した。デアセチルロ-レンシンを更に上述の酵素反応に付した所,双環性臭素エ-テルであるロ-レフシンおよびロ-レオキサニンが生成した。類縁酵素LPOにより目的とする臭素エ-テル環化が達成できたので,次に,海藻に含まれる天然の酵素を取り出すため,紅藻ウラソゾを用いて抽出,精製を行った。その結果,粗酵素の活性は,元の抽出液の約50倍に上昇した。この粗酵素液を用いた酵素反応の結果はLPOと同じだった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] A.Fukuzawa,Mya Aye,Y.Takaya,T.Masamune,and A.Murai: "A Sesquiterpene Alcohol from the Red Algae <Laurencia>___ー <nipponica>___ー." Phytochemistry. 29. 2337-2339 (1990)

  • [文献書誌] A.Fukuzawa,Mya Aye,M.Nakamura,M.Tamura,and A.Murai: "Biosynthetic Formation of Cyclic Bromoーethers Initiated by Lactoperoxidase" Chemistry Letters. 1287-1290 (1990)

  • [文献書誌] A.Fukuzawa,Mya Aye,M.Nakamura,M.Tamura,and A.Murai: "Structure Elucidation of Laureoxanyne,A New Nonisoprenoid C15 Enyne,Using Lactoperoxidase" Tetrahrdron Letters. 34. 4895-4898 (1990)

  • [文献書誌] A.Fukuzawa,Mya Aye,and A.Murai: "A Direct Enzymatic Synthesis of Laurencin from Laurediol" Chemistry Letters. 1579-1580 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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