研究概要 |
海産渦鞭毛藻の産物には細胞表層のイオンチャンネルやレセプタ-を特異的に認識し、極めて微量で作用を発現する物質が多く、細胞情報伝達機構の解明試薬として注目されている。本研究では <Gambierdiscus>___ー <toxicus>___ーが生産し、Ca^<2+>イオンチャンネル活性化作用で知られるマイトトキシン(MTX)、及び、<Amphidinium>___ー <klebsii>___ーの抗カビ成分アンフィジノ-ルの構造解明を行った。 まず、<G.toxicus>___ーを5,000L培養し、MTX18mgを得た。IR、FABMS、イオン分析より2個の硫酸エステル基を有し、分子量は3424と推定した。各種NMR測定により、142個の炭素鎖と多数のエ-テル環、水酸基、メチル基(21)、エキソビニル(1)、の存在と、分子の両端(ビニ-ル、一級アルコ-ル)を推定した。アセタ-ル、ケタ-ル、カルボニル炭素は観測されない。現在なお構造解明を継続している。 一方、アンフィジノ-ルについてはFABMS、 ^<13>CNMR、イオン分析の結果から、分子量1488、分子式C_<73>H_<125>O_<27>SNaと推定した。各種のNMR測定はNa_2^<13>CO_3の添加培養によって ^<13>Cをエンリッチした試料3mgを用いて行った。その結果、炭素数69の炭素鎖、6員環エ-テル(2)、水酸基(21)、メチル(3)、エキソビニル(1)、共役ジエン(1)、共役トリエン(1)、非共役二重結合(3)、硫酸エステル(1)を含む平面構造を推定した。炭素鎖の一端はアルコ-ル、他端は共役ジエンである。分子の一部のブタノ-ルの繰り返し構造があり、NMRでは確定し得なかったのでMS/MSによりフラグメントの解析を行い、推定構造を支持するデ-タを得た。
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