研究概要 |
本研究では、植物防御機構上重要なファイトアレキシン合成のエリシタ-作用を有するHexaーβーDーglucopyranoーsylーDーglucitol(1)の活性発現の動的機構及び特異な抗腫瘍活性から注目を集めているネオカルチノスタチン(NCS)ークロモフォア(2)のアミノ糖の役割を分子レベルで解明することを目的として,平成2年度は以下の事項について検討した。 <分子力場計算を用いたオリゴ糖の立体配座解析>___ー:自由度の大きいオリゴ糖の立体配座解析にモンテカルロ法を応用し、MM2力場を用いて構造最適化を行った。その結果、MM2力場がExoーAnomeric効果を再現し、3、6ー、4、6ートリーβグリコシドでは高度な水素結合のネットワ-クが形成していることが確かめられた。 <パラジウム触媒を活用したオリゴ糖の合成>___ー:分岐糖合成の新手法として、グリコシル化の位置選択性をスペ-サ-分子で制御する分子内グリコシル化の検討を行っている。この鍵となるスペ-サ-分子の導入をパラジウム触媒を用いたカルボニル化で達成することができた。また、Allyloxycarbonyl基がグルコ-ス2位あるいは6位の水酸基に位置選択的に導入できること、パラジウム触媒存在下、ぎ酸を用いた還元反応により官能基選択的に脱保護できることを見いだした。 <NCSーアミノ糖の分子認識機構の解明>___ー:NCSクロモフォアの分子認識機構の解明には、不安定なNCS骨格に対するアミノ糖、ナフトエ-ト基の導入が不可欠である。本年度は、これらの導入に必要な水酸基を有する12員環エ-テル3__ーの合成ル-トを確立した。今後、種々の糖の導入法について検討を行う予定である。
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