研究概要 |
擬似単糖であるポリヒドロキシピペリジンや5ーチオアルド-スの新規合成法を開発するとともに、後者については従来合成されていない新しい擬似糖の合成を行い、環硫黄原子の酸化反応における立体選択性を検討した。合成した化合物の中に顕著なフコシダ-ゼ阻害作用を有するものを見いだした。 1.ポリヒドロキシピペリジン誘導体の新しい合成 βーDーリボフラノシドをルイス酸存在下シアノトリメチルシランを作用させて得られるグリコノニトリルを経由して、1,5ージデオキシー1,5ーイミノーLータリト-ルを合成した。さらに、同様にしてその6ーデオキシ誘導体も合成し、それらがフコシダ-ゼ阻害作用を有することを明らかにした。 2.5ーチオアルド-スおよびその誘導体の合成 5ーチオーDーマンノ-スおよび5ーチオーLーフコ-スをはじめて合成し、後者はフコシダ-ゼに対して特異的な阻害剤であることを明らかにした。後者については、さらにそのチオグリコシドなど関連化合物を合成してそれらの酸素阻害作用を検討し、活性発現における環硫黄原子の重要性を示唆した。 3.5ーチオーDーグルコピラノ-ス誘導体の求電子反応に対する1位の置換基の電子的効果 活性発現に重要な役割を果たす環硫黄原子に対する過酸々化反応における立体選択性に与える1位の置換基の電子的効果をハメット式により解析し、電子吸引性誘起効果が大きいほど電子剤の環硫黄原子に対するエクアトリアル方向からの攻撃が、また電子供与性共鳴効果が大きいほどアキシアル方向からの攻撃が優先することを明らかにした。 4.チオアルド-スの簡便な合成法 ヘキソピラノシドのジメチルボロンブロミドによる開環反応を利用するチオアルドヘキソ-スの簡便な合成法を開発した。この方法の適用範囲などについては今後の課題である。
|