研究課題/領域番号 |
02251204
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
張 紀久夫 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (60013489)
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研究分担者 |
大淵 泰司 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (10201980)
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キーワード | 非局所媒質 / 非局所応答 / 3次非線形感受率 / サイズ増大 / 励起子 / 閉じ込め系 / 長波長近似 / 相殺 |
研究概要 |
1.励起子閉じ込め系の3次非線形感受率X^<(3)>のサイズ増大に関する従来の理論の欠陥として「散乱機構を現象論的に取り入れているにも拘らずサイズ増大が飽和しないこと」「それを補うため、ミクロなモデルとは無関係にコヒ-レント長を導入し、理論の成立範囲をそれ以下のサイズに限定するという一貫性の欠如」「X^<(3)>に寄与する諸項の間に必然的に存在する相殺の問題が正しく扱われていないこと」を指摘した。相殺の問題を正しく考察することによりこれらの欠陥を克服し、一貫したモデルによる「サイズ増大と飽和」の議論が可能であることを、1次元周期格子上の相互作用しないフレンケル励起子について、厳密な解析解の性質と数値計算に依って示した。その結果、X^<(3)>には、サイズNと移動エネルギ-bに対する顕著な増大効果を示す領域があるが、大きなNとbに対しては飽和すること、増大の領域はNとbおよび減衰定数により決まっていることがわかった。 2.従来、非局所的なX^<(3)>を含むMaxwell方程式を解いて応答を求める理論は皆無であったが、線形応答におけるABCーfree理論を非線形応答に拡張することにより、この問題の取扱が可能であることを示した。この定式化によれば問題の中心的部分は誘起分極の展開係数をselfーconsistentに決める連立3次方程式を解くところにあり、系のサイズがあまり大きくないときは、これを数値的に解くことができる。有限サイズの1次元フレンケル励起子系に対してこの計算を実行し、長波長近似の結果と正しい非局所理論の結果がどの程度のサイズから食い違い始めるかを調べた。その結果、両者の違いはサイズが光の(媒質中での)波長の1/10程度になるとはっきり現われ始めることがわかった。 3.メゾスコピックなスケ-ルで不均一な媒質の光学応答を与える、さらに一般化した非局所理論を定式化した。
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