研究課題/領域番号 |
02255107
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
津本 忠治 大阪大学, 医学部, 教授 (50028619)
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研究分担者 |
臼井 支朗 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40023337)
村上 富士夫 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (20089882)
水野 昇 京都大学, 医学部, 教授 (10025596)
塚田 稔 玉川大学, 医学部, 教授 (80074392)
山本 長三郎 金沢大学, 医学部, 教授 (50008231)
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キーワード | 脳 / 神経回路 / モデュ-ル / 海馬 / 長期増強 / シナプス可塑性 / 記憶 / コラム構造 |
研究概要 |
1.研究目的 脳の神経回路は、多数の基本的な回路(回路モデュ-ル)を組み合わせることによって構成されている。したがって、この回路モデュ-ルの動作特性が脳における情報処理の基礎をなすことになる。本研究はこのような認識のもとに、脳内神経回路モデュ-ルの動作特性を実験的に明らかにすること、及びこのモデュ-ルが如何なる原理によって脳の情報処理回路を構成しているかを計算論的に明らかにすることを目的とする。 2.研究経過 <山本班員>___ーは、海馬の記憶回路の一つであるCA3ニュ-ロンと苔状線維間シナプスにおいて、長期増強がおもにシナプス前起源である結果を得た。<塚田班員>___ーは、時間パタ-ン刺激を用いて実験を行ない、長期増強の誘発を促進する過程と抑制する過程が存在し、両過程の相互作用によって長期増強が形成されることを示唆した。<津本班員>___ーは、ネコの大脳皮質視覚野にみられる方位円柱間に興奮性結合のみならず抑制性結合も存在することを同時記録した2個のニュ-ロン活動の相互相関解析法によって明らかにした。<水野班員>___ーは、免疫組織化学的手法によってラット線条体のpatchとmatrixと呼ばれるモデュ-ル様構造の入出力に関与する伝達物質を明らかにした。<村上班員>___ーは、ネコの大脳ー赤核投射において生後初期の過渡的投射である交又性投射が実際にシナプスを形成していることを電子顕微鏡によって見い出した。<臼井班員>___ーは、学習能力を持つ階層型神経回路モデルにおける色情報処理のシステム論的解析を行なった。その結果、中間ユニットに心理学や生理学で知られる属性が表現されることが明らかになった。 3.総括 本年度は海馬、新皮質や基底核におけるモデュ-ル構造の存在及びその動作様式に関する重要な発見があった。また、計算論的モデュ-ル回路の構成・動作原理の理解も進展した。
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