研究概要 |
一個の中枢ニュ-ロンに於いて、細胞体から樹状突起上に入力する多数の異なる情報(興奮性,抑制性、修飾性、速いもの、遅いもの等)が、どのように相互作用し、最終的にインパルスとして出力されるかという問題を、海馬のニュ-ロンを対称として、光学的な細胞内Ca^<2+>や膜電位の測定により分析するのが、本研究の目的である。 今年度は、その第一段階として、その方法論の確立を行った。 1)紫外レ-ザ-の共焦点顕微鏡への応用とモデル系での実験。 標準の可視光レ-ザを応用した共焦点レ-ザ-走査顕微鏡(BIO RAD,MRCー500)に紫外レ-ザ-(HeーCdレ-ザ-325nm,Arion laser334,351,364nm)を応用し、顕微鏡の光学系に改良を加え、紫外励起による蛍光走査像が得られるようにし、ウシガエル交感神経節細胞での細胞膜興奮による細胞内Ca^<2+>濃度上昇の空間分布とそのダイナミックスを測定し、細胞膜から細胞質深部に向う“Ca^<2+>波"の伝播速度は、17〜29Mm/secで、細胞質の部分によりかなり異なり、又立上り速度も細胞膜からの距離によりかなり異なることが解った。 2)ラット胎児又は新生児の海馬及び中隔野ニュ-ロンの培養 ラット胎児(18ー19日)、又は新生児(1ー2日)の海馬及び中隔野ニュ-ロンの培養システムを完成し、高K^+液に対する神経突起や細胞体での細胞内Ca^<2+>応答を測定した。 来年度は、上記システムで海馬や中隔野ニュ-ロンでの種々の伝達物質に対する応答を分析したい。
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