本年度は、ラットおよびにわとりの大脳皮質ニュ-ロンを酵素で単離した純培養し、培養ニュ-ロン間のシナプス形によりできたニュ-ロン回路網に各種伝達物質のアンタゴニストなどを添加し、自然発火および任意のニュ-ロン刺激による、ニュ-ロンの活動パタ-ンCa^<2+>感受性色素を用いて観察し、その変化により重要な興奮性、抑制性シナプスの分布を明きらかにし、モデルュ-ル様構造内、構造間の機能結合を解析した。 いくつかの条件下で、モデュ-ル様構造に対応すると考えられる、非同期性の活動パタ-ンが1つの培養ウエル中で見いだされた。現在、モデュ-ル構造の出現を規定している因子にどのようなものがあるかを検討中である。ここで使われる中枢ニュ-ロン表面に対するモノクロ-ナル抗体ライブラリ-(本研究員らが8年間かけて作製したもの)のうちには、特定のニュ-ロン群と反応するものがあり、このような抗体を用いると実際の脳組織でのそのニュ-ロン群の存在様式を知ることができるのも本研究の特徴で、モデル系である培養系での知見を実際の脳へ適用するための有力な武器になろう。
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