研究概要 |
エリスロポエチンは赤血球系だけでなく、巨核球系細胞の分化増殖にも関与していることが知られている。我々は巨核球血小板系におけるエリスロポエチンの役割を明らかにするため巨核芽球性白血病患者よりヒト巨核芽球性白血病細胞株(UT7)を樹立した。この細胞は巨核芽球系ならびに赤芽球系の性質を保持し、その増殖はILー3,GMーCSF Erythropoietin(Epo)などのサイトカインに依存性である。この細胞株由来のmRNAを用いてベクタ-上にcDNAライブラリ-を作製し、これよりマウスEpoリセプタ-(mEpoーR)をプロ-ブとしてヒトEpoリセプタ-(hEpoR)のcDNAを単離した。得られたhEpoーR・cDNAは508ヶのアミノ酸をコ-ドしており、mEpoーR(507アミノ酸)とは約80%の相同性をもっていた。そして、これは他のグル-プが赤芽球系の細胞より単離したものと同一のものであり、このサイトカインリセプタ-ファミリ-に共通する、4ヶのシステインよりなるモチ-フ、単一の膜貫通領域、膜貫通部位直前のWS(X)WSモチ-フなどを有していた。また、得られたクロ-ンの中にはAlternative splicingによって生じたと考えられるInsertionを持ったものがあった。このクロ-ンは開始コドン領域が欠損していたが、Insertion部位シ-クエンスりよ、可溶型の受容体をコ-ドしているものであると推察された。他のサイトカイン受容体でも可溶型のものが単離されているが、その中にはサイトカインと結合し、シグナルを伝える機能のある可溶型受容体も知られており、EpoーRについてもその機能につき現在検討中である。
|