スフィンゴ脂質の代謝に関与する加水分解酵素の多くは、各種活性化蛋白質によって活性を調節されている。今回我々は、これら活性化蛋白質の中で、グルコシルセラミドーβーグルコシダ-ゼ活性化蛋白質(Saposin C)およびその前駆体蛋白質Prosaposinに関する研究を進めた。ウシ脾臓からSaposin Cを精製単離し、アミノ酸配列を決定した。全アミノ酸残基数は80で、ヒト及びモルモットのSaposin C配列と著しく類似していた。蛋白質の高次構造に関与すると考えられるCys残基や糖鎖付加が考えられるAsn残基は3種の間で保存されていた。さらに、ウシSaposin Cをを免疫原として家兎に免疫し、抗血清を得、アフィニティ-クロマトグラフィ-を用いてモノスペシフィック抗ウシSaposin C抗体を作成した。この抗体とモノスペシフィック抗ヒトSaposin B抗体を用いたイムノブロット法で、これら活性化蛋白質およびその前駆体蛋白質の分布をヒト各種分泌液で検討した。抗Saposin Bおよび抗Saposin C抗体による結果は著しく類似しており、ヒト各種分泌液で前駆体蛋白質Prosaposinが検出された。血小板を用いた分泌実験では、トロンビン刺激に応じてProsaposinが放出された。Prosaposinの放出は、そのtime courseや放出を誘発するアゴニストの種類からlysosome like granuleからのものと考えられた。
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