研究概要 |
核分裂における細胞内Ca^<2+>の動態変化の分子的要因の解明とCa^<2+>受容体による染色体分配の制御機構を明らかにするために,出芽酵母(Sacchromyces cerevisiae)を用いてCa^<2+>による核分裂調節の鍵を握るカルモデュリン(CaM)と<CAL1>___ー遺伝子に注目して研究を行った.まずCaM分子についてはCaM分子の半分だけを発現させた細胞は温度感受性を示すものの,低温では増殖可能であることを示し,CaM分子の構造的な繰り返しユニットである2個のEFハンド・モチ-フが<in>___ー <vivo>___ーでも機能しうることを明らかにした.さらに高温での増殖の停止は核分裂の中でも特にSPBと核DNAとの相互作用の異常としてまず現れてくることを明らかにした.さらにCaMのタ-ゲットである2種類のCaM依存性蛋白質燐酸化酵素の構造遺伝子(<CMK1>___ーと<CMK2>___ー)をクロ-ニング,構造解析を行った.この2つの蛋白質燐酸化酵素は自己活性調節能において異なる働きを持つことが個々の分子を精製して調べることにより明らかになった.蛋白質のイソプレノイド修飾に関わる<CAL1>___ーは細胞周期の核分裂と芽の伸長に必須の機能を果たすが,これと関連する遺伝子ネットワ-クについては,低分子量GTP結合タンパク質をコ-ドする<RHO1>___ー,<RHO2>___ーが<call>___ーの多コピ-抑制遺伝子に他ならないことを示し,タンパク質修飾過程にGタンパクが関与する可能性を示唆した.また<cls7>___ーー<clsll>___ーの5つの<cls>___ー変異は液胞のH^+輸送性ATPaseの活性の欠損をもつが,ARGUSー100/CA使った解析から細胞内Ca^<2+>濃度の上昇によりCa^<2+>依存性変異<call>___ーを抑制することを明らかにした.
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