研究概要 |
1.ヘチマ種子登熟過程における主要蛋白質及びluffinの動態 種子形成初期の外種皮、胚乳液及び登熟前期、中期、後期、完熟期の子葉から蛋白質を抽出し分析した結果、1%酢酸可溶画分(A)及び10%食塩可溶画分(G)に含まれる主要蛋白質として、それぞれ72、54及び13kDaの蛋白質及び68、44、25及び15kDa蛋白質が見出された。A72kDa蛋白質は子葉形成前期に、A54,39,13kDa蛋白質及びG15kDa蛋白質は後期にみられた。G68、44、25kDa蛋白質は前、中、後期子葉にみられ、完熟期子葉にはA14kDa及びG58、38kDa蛋白質が出現した。種子形成初期の胚乳液には70kDaの酸性蛋白質と7kDaの塩基性蛋白質が主に含まれていることがわかった。また、Western blot法及びELISA法によりluffinの変動を調べた結果、luffinは子葉形成前に既に外種皮に認められ、登熟とともに子葉で大量に生合成されるが、未熟種子のluffinは完熟種子のluffinより2kDa大きく、これは糖鎖に由来することが明らかになった。 2.数種の蛋白質の分離・精製及び構造 (1).トリプシンインヒビタ-(TI):完熟種子からTIを分離・精製した結果、13、6、5.2kDa及び3.4kDaのTIが分離された。そのうち、29個と30個のアミノ酸残基から成るTIの全アミノ酸配列を決定した。 (2).リボヌクレア-ゼ(RNase):完熟種子から分子量19kDaの強塩基性RNaseを単離し、その部分アミノ酸配列を決定した。 (3).高グリシン含有及び高グルタミン・アルギニン含有蛋白質:完熟種子より高Gly含有及び高Glx・Arg含有蛋白質を単離した。前者は15kDaで、164残基のGlyを含み、後者は9kDaで25残基のGlxとArgを含むことがわかった。 (4).7kDa蛋白質:子葉形成前の種子胚乳液から7kDa蛋白質を単離し、その全アミノ酸配列を決定した。
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