研究課題/領域番号 |
02262205
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾形 悦郎 東京大学, 医学部, 教授 (70013761)
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研究分担者 |
西本 育夫 東京大学, 医学部, 助手 (80180652)
岡本 卓 東京大学, 医学部, 医員
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キーワード | IGFーII受容体 / G蛋白 / G蛋白活性化配列 / 一次構造 / G蛋白共役 / モチ-フ |
研究概要 |
前年度までの成果として、我々は、精製IGFーII受容体が精製G蛋白を直接認識し、かつ活性化することを証明したので、本年度は、IGFーII受容体の持つこのG蛋白共役の分子機構の解明を試みた。我々は、独自の方法で、まず、IGFーII受容体の細胞内ドメインに所在する、2410残基から2423残基の領域(ペプチド14領域)に、特異的なG蛋白活性化能が存在することを見いだした。ペプチド14が、G蛋白を活性化する様式は、従来知られている受容体により活性化様式と差がなかった。ペプチド14のG蛋白活性化能は、これにIGFーII受容体の膜貫通領域を結合することで、1000倍に上昇することが出来た。これらのことは、ペプチド14の機能が、IGFーII受容体のG蛋白共役活性の責任を担うことを示唆していたので、我々は、更に、ペプチド14に対する抗体を作成し、その証明を試みた。果たして、IGFーII受容体とG蛋白とから成る再構成系において、この抗体は、IGFーII受容体のG蛋白共役活性を完全に抑制した。以上のことから、ペプチド14配列を用いて、IGFーII受容体がG蛋白を認識し、かつ活性化すると結論することができる。これは、受容体のG蛋白認識機構として明らかにされた初めての分子機構である。更に、我々は、ペプチド14のG蛋白活性化能を担う構造を、各種変異ペプチドを用いて明らかにする実験を行なった。このことから、G蛋白を活性化する一次構造モチ-フが存在すること、それは、G_<iー2>蛋白の場合、N端に塩基性残基を2個持ち、C端にBーBーXーBもしくはBーBーXーXーB(B:塩基性残基,X:非塩基性残基)の構造から成る配列であることを、世界で初めて明らかにした。今後、このモチ-フを用いて、これまで未知とされてきた様々な受容体シグナル伝達機構の解明を計画中である。
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