研究概要 |
新規のレチノイドについて:レチノイン酸の毒性は特異的なレチノイドとしての活性に基づくもののほか、脂肪酸として膜の障害など非特異的な毒性がある。後者の消去のためより親水性の化合物としてウレア誘導体を合成したが弱い活性しか認めなかった。ウレア構造のNーメチル化によって立体構造を変化させると活性が発現する。さらに系統的な合成を進めている。 構造に特徴のあるレチノイドとして,siあるいはGe原子を含むレチノイドを合成した.そのうちの幾つかは非常に強力な作用をもつ。そして特にSi分子を二原子含むam55Sは毒性が軽徴であるという特徴をもつ。 臨床へ応用可能な分子としてRe80をとりあげ,アメリカNIHのプロトコ-ルに基づく毒性試験を行った。その結果をもとにより長期の毒性試験の準備を開始した。アメリカニュ-ヨ-ク州RMPIの協力をえている。 レチノイドアンタゴニストの合成を続けている。エストロケンに類似する構造のレチノイドとして合成したBE16Eはレチノイド活性を示さなかったがAM80の作用を阻害するという興味深い結果をえた。 合成レチノイドとして報告すべき重要な作用は形態形成に対する作用である。トリの胚芽形成におけるAm80,Ch55もレチノイン酸と同様にトリの胚芽形成における位置情報として作用することが明らかとなった。Ch55がCRABPに結合しないことから,胚芽形成においてもCRABPは決定的な役割を果たしていないことが明らかである。 合成レチノイトによる転移防止および腫瘍組織の血管新生の抑制を見いだした。より詳しい結果をうるべく研究が進行中である。
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