1)GCGAAAGC断片の高次構造の決定:この断片のNMRスペクトルや酵素分解の実験より、このGCGAAAGC断片は、両末端の2つのGC塩基対からなるヘアピン様構造であると推定しているが、これだけではこの配列の高い安定性を説明することは出来ない。そこでこの断片のX線結晶構造解析を行うために、大量合成(30mg)を行い現在、この断片の微結晶を得るに至っている。今後、この結晶を基にしてこの断片の詳細な構造が解明できると考えられる。また、GCGAAAGC配列の3番目の塩基のグアニンをアデニンにするとそれほど安定な構造にはならない。そこで、CGGCGAAAGCCG断片と比較にCGGCA__ーAAAGCCG断片を大量合成(各200 OD_<260>ユニット)し、現在それぞれのNMRスペクトルより構造の違いを調べている。 2)GCGAAAGC配列を含むDNA断片と一本鎖DNA結合タンパク質との相互作用:ファ-ジG4の1本鎖DNAが二本鎖化するためにの複製開始点のヘアピン構造中にこのGCGAAAGC配列が存在するが、従来から考えられているこの部分のヘアピン構造とGCGAAAGC配列のヘアピン様構造とでは塩基対の様式が異なっている。この部分の構造を調べるとステム部分の長さによってこれら2つの構造のどちらかを形成することが解った。そしてGCGAAAGC配列からなるヘアピン様構造は、複製の開始時に必要な一本鎖DNA結合タンパク質(ssb)と結合しにくいことが解り、この構造が複製の開始に関与していると考えられる。また、同じ機構で複製が始まるファ-ジφK、α3は、この部分の配列が多少異なっているが、アァ-ジG4の場合と同様の現象を示すことを確認した。 以上のように申請した今年度の目標の大半を達成することが出来た。
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