研究分担者 |
蜂屋 邦夫 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00012980)
宮元 啓一 国学院大学, 文学部, 助教授 (40190813)
加藤 純章 二松学舎大学, 文学部, 教授 (40101638)
竹村 牧男 筑波大学, 哲学. 思想学系, 助教授 (20175699)
川崎 信定 筑波大学, 哲学. 思想学系, 教授 (00072538)
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研究概要 |
本研究は,次の諸点を目的として遂行された。(1)インド思想,仏教思想の各分野の研究者が,それぞれの領域における時間論の特質を哲学一般の地平において明らかにするための確乎たる足場を築くこと。(2)上記の各分野の研究者の間の交流を図り,学際的領域の開拓に努めること。(3)インド思想,仏教思想における時間の捉え方の基本的な枠組みを探り出し,その現代的意義に関し一定の見通しを立てること。である。結論的には,これら所期の目的は,研究分担者等の協力を得て,ほぼ達成されたといえる。 以下に,本研究の遂行に当たって各研究分担者が主にどのような問題の解明を試みたかを簡略に記せば,次の通りである(一部省略)。土田は『マハ-バ-ラタ』中に現れる二説話の運命論的思想について検討した。宮元はヒンドゥ-教文献に見られる宇宙論を理解する上で不可欠の『マヌ法典』における時間の単位について調査するとともに,「宇宙は無限である」というインド思想の一根幹をなす考え方を哲学的に考察した。谷沢は言語哲学者バルトリハリが説く行為者としての時間なでについて論究した。加藤は一般に煩悩の別称とされる「隨眠」を手掛りとして,説一切有部の三世実在説とそれに対する経量部の反論を詳細に解明した。木村は華厳教学の大成者法蔵の時間論を究明し,その意義を探った。竹村は現代の諸哲学ともしばしば比較される道元の時間論を追究し,彼の思惟構造の重要な一面を明らかにした。蜂屋は広く諸資料を探って,中国における「時」の思想を跡づけ,それを踏まえて中国仏教者僧肇の時間論の特徴を浮き彫りにした。坂部はベルグソンにおける「多様性」の概念を詳細に検討し,そこから,東西の時間観念の比較研究を行うに際しての一般的な時空モデルないし時間モデルを構成するための多くの手掛かりを得た。
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