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1991 年度 実績報告書

鑑賞・消費の観点から見た藝術

研究課題

研究課題/領域番号 02301009
研究機関京都大学

研究代表者

新田 博衞  京都大学, 教養部, 教授 (80026749)

研究分担者 愛宕 出  京都女子大学, 短期大学部, 助教授 (90152496)
米澤 有恒  兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (70093341)
五十嵐 節子  ノートルダム女子大学, 文学部, 助教授
中村 興二  奈良女子大学, 文学部, 教授 (50000360)
野口 榮子  関西学院大学, 文学部, 教授 (70087691)
キーワード消費 / 物 / 記号 / 皮膚感覚 / 礼拝 / パラダイム / 他界 / 鑑定
研究概要

(1)『清凉寺縁起絵巻』の「詞書」を中心として、清凉寺本尊が如何にして大陸から日本へ渡来したのかが考察された。これによって、仏像の受容態度に関する彼我の相違が浮き彫りになった。
(2)「浮絵」の遠近法が西洋近代の一点集中遠近法と対比して考察された。西欧遠近法の主眼は画面の形而上学的構造の形成に置かれ、浮絵の遠近法は歌舞伎観客の趣味によって形成されたことが明らかになった。
(3)「六道絵」における現世と他界との関係が考察された。(4)「15世紀のドイツ・ゴシック建築」について(3)と同じ問題が探られた。 (5)「リ-メンシュナイダ-の祭壇彫刻」の構造がキリスト教における「典礼」との関係で明らかにされ、仏像のような「礼拝」の対象ではないことが強調された。
(6)「科学革命」における「パラダイム」(ト-マス・ク-ン)と美術における「様式」との関係が探られた。(7)現代における「皮膚感覚」の言語化が民話等を材料として記述された。
(8)ボ-ドリヤ-ルの『物の体系』を材料として「消費」の現代的意味が論究された。経済的意味における消費が、物の消費から記号的意味のそれへ変化したのに伴って、藝術における「消費(受容)」の仕方が従来の周辺的位置から社会経済的行為の中心へ転移しつつあることが指摘された。
(9)19世紀イタリアの美術鑑定家モレ_ルリの業績が紹介され、従来"モレ_ルリ式"と呼ばれてきた作品帰属のさせ方が必ずしも当を得た定式化ではなかったことが明らかにされた。
以上9つの研究を通じて研究課題の精密化が可能になった。すなわち、藝術における「消費」とは意味の「再生産」のことなのである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 岸 文和: "延享二年のパ-スペクティヴー奥村政信「大浮絵」についてー" 美術史. 132. (1992)

  • [文献書誌] 上村 博: "ベルクソンにおける美的知覚" 美学. 42ー3. 16-27 (1991)

  • [文献書誌] 並木 誠士: "清凉寺蔵釈迦堂縁起について" 美学. 43ー1. (1992)

  • [文献書誌] 米澤 有恒(共著)(神林恒道編): "日本の美のかたち(IIIー3「筋と形」)" 世界思想社, 273 (1991)

  • [文献書誌] 五十嵐 節子(池上 忠治,神林 恒道,潮江 宏三編)(共著): "「芸術学フォ-ラム」第3巻「西洋美術史」(「初期中世絵画」)" 勁草書房, (1992)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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