研究課題/領域番号 |
02301015
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
吉田 俊郎 常磐大学, 人間科学部, 教授 (00051079)
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研究分担者 |
中野 泰志 国立特殊教育総合研究所, 視覚障害教育研究部, 研究員 (60207850)
小田 浩一 国立特殊教育総合研究所, 視覚障害教育研究部, 研究員 (60169307)
渡辺 厚子 慶応義塾大学, 法学部, 助手 (20119035)
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キーワード | 視覚障害 / 弱視 / コントラスト / コントラスト感度 / 白内障 / 白黒反転 / シミュレ-ション / 画像処理 |
研究概要 |
研究分担者の中野を中心に、眼球の透光体(角膜やレンズ)にくもりのある弱視児において、教科書などの文字の白と黒を反転させる(コントラスト・ポラリティ反転)ことが、どのように文字読み課題や視力に影響するかを調べ、日本心理学会第54回大会と日本特殊教育学会第28回大会で発表した。白内障や角膜混濁などによって透光体にくもりのある視覚障害者では、一般に黒地に白い文字の方が読み易く、くもりの程度と課題によっては、成績に2倍以上もの差があることが知られた。この結果は、分担者の所属する国立特殊教育総合研究所の紀要に掲載され、さらに教育現場向きに応用的側面を強調して書き変えられ、特別研究中間報告書に掲載された。 研究分担者の小田を中心に、晴眼者を使って弱視のシミュレ-ションの研究が着手された。すりガラスを光学的なロ-パスフィルタとして使用することによって、組織的に文字画像をぼかして行き、視力の低下によるぼけをシミュレ-トして文字認識に及ぼす効果について実験を行った。この結果、ぼけに対して強い文字と弱い文字があること、画数の多い漢字や濁点・半濁点のついた仮名文字などは、アルファベットや数字に比べて2倍程度ぼけに弱いことが知られた。また、この研究での被験者の内観報告から、ぼけた文字画像は正しい文字がぼけたものとしてではなく、別の文字として「見える」という弱視者の体験を追認した。これらの結果は、日本特殊教育学会第28回大会で発表した。また、透光体にくもりのある視覚障害者のシミュレ-ションとして、視標の輝度コントラストを落としていったときの視力の変化を調べ、第16回感覚代行シンポジウムで報告した。 上述の発表された実績の他にも、吉田を中心とした研究レビュ-や、弱視者の知覚学習に関する基礎研究の予備実験、視野を制限した場合の読書の問題などが取り組まれ、研究最終年度に向かって準備が進められている。
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