研究分担者 |
戸谷 修 三重大学, 人文学部, 教授 (80070895)
高橋 明善 東京農工大学, 農学部, 教授 (80014926)
安原 茂 成蹊大学, 法学部, 教授 (70054286)
高橋 勇悦 東京都立大学, 都市研究センター, 教授 (90014779)
秋元 律郎 早稲田大学, 文学部, 教授 (00063503)
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研究概要 |
この研究は,沖縄の都市と農村の社会構造と都市と農村の構造的連関をとらえるとともに,そこにおける問題を明らかにしようとした。調査は,那覇市,名護市,大宜味村,読谷村にて実施した。各地域は,本土経済及び日本国の政治・行政のなかにくみ入れられることによって,かなり変動しつつある。しかしながら,これまでの沖縄的特質が消滅したわけではない。むしろ,沖縄的特質を生かしつつ本土の経済・政治・行政を受け入れる状況もみられるが,そこには多くの問題が生じている。 那覇市においては,沖縄の中心として政治・行政・経済・文化・消費などの機能の近代化と,都市としての社会的基盤の整備が進められている。だが,米軍基地問題及び返還跡地利用の関係から十分な都市計画を立案・実施することができない。また一般的に都市の不安定性をひきおこすといわれる過密性と移動性が高まってきている。だが沖縄の場合には,それは必ずしも不安定化には結びついていない。自治会などの住民組織率は低いが,郷友会が組織され,また模合などを通じて人びとは社会的に結合していることによって,那覇市の社会関係の安定性が保たれている。 郷友会という沖縄独特の組織は,那覇における名護市,大宜味村,読谷村出身者にもみられる。とくに大宜味村は,農業生産力の低い寒村であるが,優れた人材が輩出したこともあって,多くの人びとが那覇市に移住し経済的・社会的に活動している。だが大宜味村は高齢化が進行し,地域の社会的機能の衰退が著しい。 これらの問題の基底には,沖縄産業構造における零細性と不均等発展が存在している。これに対して,第1次から第3次にわたる振興計画が策定され,3兆円にものぼる投資が行なわれているが,まだ十分な成果は挙がっていない。
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