研究課題/領域番号 |
02301031
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研究機関 | 山口女子大学 |
研究代表者 |
山田 富秋 山口女子大学, 助教授 (30166722)
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研究分担者 |
桜井 厚 中京大学, 社会学部, 助教授 (80153948)
大庭 宣尊 広島修道大学, 人文学部, 助教授 (70160611)
福岡 安則 千葉県立衛生短期大学, 助教授 (80149244)
鐘ケ江 晴彦 専修大学, 文学部, 教授 (20129919)
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キーワード | 部落差別 / 差別意識 / 距離化過程 / 「いま、ここで」のモデル / 反差別認識 / シンボル分析 |
研究概要 |
本年は研究計画の初年度として、理論的な営みとしては部落差別現象を明確に分析しきる社会学的概念および理論装置の確立をめざした。同時に、被差別部落の生活と文化の実像を明確にするため、東日本における聞き取りを関東近辺、中京地域において行い、本年度の後半からインテンシヴな聞き取りの対象地として広島県竹原市の被差別部落をフィ-ルドとした。竹原市での調査内容としては、竹原市における部落差別現象をめぐっての全体的状況の把握、学校教育・社会教育の場面での同和教育の実態、解放運動の現状、全体的な市民意識の性格、などについて、資料収集および聞き取りを通して概要をつかんだ。具体的には、学校教師、PTAとのグル-プ・インタヴュ-を行ったり、あるいは、部落解放運動への参加者の個別的聞き取りを行った。 本年度末に今年度を総括する研究会を持ち、それを通して竹原市における部落差別現象を明確に分析するための社会学的概念装置として、つぎのことが仮設として提示された。すなわち、部落差別をめぐる全体的状況は相対立する二つの社会意識あるいは社会的勢力(social forces)のせめぎあい、あるいはダイナミズムとして理解される。その相対立する社会意識とは、一方は日常化され正当化された差別意識と、他方のそれを非日常化し、「いま、ここで」解体し、具体的な差別事象と直面し、異議を唱えていく反差別の意識である。ここでは、日常化され、容易に顕在化しない差別意識を、1.「いま、ここで」の認識からの距離化という視点から、静態的シンボル分析と、ビデオ分析や会話分析を通してダイナミックな過程を捉える動的分析の両方を行う。また、2.差別意識を「差別ー被差別関係」の認識からの距離化と捉え、具体的な人間関係の次元である社会的関係と、距離化を正当化する意味づけレベルでの文化的関係性の二つの側面から明らかにする。
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