研究課題
尼子氏関係史料の調査・収集・整理が平成2年度の主要な研究作業である。各研究分担者は、それぞれ割り当てられた地域における史料調査に当たり、文書の所在・文書の内容・発給者・文書形式・年月比定等を中心に調査を進めた。予想以上に史料の散在性が大きく、かつ、原文書の残存が比較的少なく、書写・影写・刊行物(記録や市町村史誌等)所載の形で残っているケ-スが多かった。これらの中から、一枚物の文書について、本年度に調査し、目録にしたものが、別添資料「尼子氏関係史科目録」で、約900点の文書を目録化することができた。もとより中間的成果で不完全なものであるが、平成3年度はこれをベ-スに、更に新たな文書を探査し、完全なものに近づけたい。次に、膨大な日記・記録類(例えば、大館常興日記・石山本願寺日記等)の中から、尼子氏関係記事を抽出する作業も進めているが、この作業は平成3年度に本格的にとりくむ予定である。研究分担者は史料調査に当たりながら、各自の研究課題についても研究を進めており、特に城跡等の実地調査を必要とする者は、富田城をはじめ数か所の山城の調査を行っており、尼子氏関係の城郭分布図作成のための基礎デ-タ作りにとりかかっている。しかし、これらの研究成果は、まだ発表の段階に至っていない。文書史料の収集に当っては、できるだけカメラによる撮影を原則としたが、影写本等については筆写さぜるを得ないものもあった。本年度の研究実施計画は、ほぼ予定通り進めることができたと考えている。